コラム
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日本の伝統的な収納空間である押し入れは、カビが発生しやすいことが弱点です。もし押し入れの中にある布団や衣類にカビが生えれば、使うときに人の口や鼻からカビ菌の胞子が入り込み様々な健康被害がでるでしょう。
衛生的な生活を送るためにも、押し入れのカビは防がなければいけません。本記事では、押し入れでカビを発生させないための予防策やカビが発生した場合の掃除方法などを紹介します。
目次
おすすめの押し入れのカビ予防法
除湿剤・除湿シートを設置する
押し入れは、収納空間であり人が寝起きする空間ではありません。そのため、採光の邪魔にならないように、北側に配置されることが多いです。
また、壁に十分な断熱性がないことも多く、外気温の影響を受けやすくなります。密室であるため、冬場になると暖房で暖まった空間との温度差はより大きくなるでしょう。
空気の温度は、低くなるほど保持できる水蒸気量が減少します。すなわち、温度の低い押し入れは、少ない水蒸気量でも高い湿度になりやすいということです。
カビは高い湿度になるほど繁殖する生き物なので、湿度を下げることが効果的なカビ対策になります。除湿剤や除湿シートを荷物と一緒に置いておくことで、押し入れの空気に含まれる水蒸気を集めて湿度を下げることができます。定期的に交換することを忘れなければ、それだけでも湿度の上昇を下げられるでしょう。
扇風機で換気をする
押し入れのカビを予防するためには、換気も必要です。換気をすれば、押し入れにある湿度の高い空気を押し出すことができますし、人が過ごす空間との温度差も解消できます。
換気をするためには、扇風機やサーキュレーターなどのアイテムを使うと良いでしょう。換気扇を使った換気は、ふすまを中央に寄せておくと空気の入り口と出口ができるので効率的に湿気を追い出すことができます。
押し入れに収納ボックスやタンスを設置しているときには、引き出しをあけて中まで風が通るようにしておきましょう。
物をすのこの上に置いておく
収納ボックスや布団が置かれている面は、換気をしても空気が流れることはありません。そのため、その部分だけ湿度・温度の変化が起きにくく、カビが発生しやすくなります。
押入れ全体に換気をさせるため、物の下にすのこを敷いて通気性を高めることも効果的です。すのこには木製とプラスチック製がありますが、木製だと年月が経過すれば虫がついたりカビが発生したりする恐れがあるので定期的に交換しなければいけません。
長く使い続けるつもりであれば、プラスチック製のすのこにしておくほうが良いでしょう。
防カビスプレーを壁に吹き付ける
カビが発生しないようにするには、押し入れのかべや床に防カビスプレーを吹き付けておくことも対策になります。換気と防カビスプレーによりカビ菌の繁殖を抑え込むことで、押し入れはより衛生的な場所となるでしょう。
なお、防カビスプレーはスプレームラがあると吹き付けていない箇所でカビが発生しやすくなります。
加えて、スプレーの効果は時間が経てば効果が薄れるので、定期的な吹付けが必要です。事前に製品の注意書きをよく読み、持続期間の確認をしておきましょう。
カビが生えにくい押し入れ収納方法
物を動かしやすい配置にする
物を動かしにくい配置にすれば、長期にわたって物を動かすことがなくなるでしょう。物が動かなければ空気も留まり、カビが生えやすくなります。
したがって、押入れにカビを発生させたくないならば、物を動かしやすい配置にしましょう。物の動かしやすさを考えるとき、ポイントになるのは重量です。重くて大きい物を押入れの上段に置くと、動かすためには持ち上げる力が必要になります。
重いものを置くならば、下段の方が良いでしょう。一方で軽い物は、持ち上げるのに大きな力を必要とはしません。上段に配置しても、簡単に動かせます。
使わない布団は圧縮袋に入れる
使わない布団を圧縮袋の中に入れておくことで、外気からの影響を最小限に留めることができますし、真空にすることで空気中の水蒸気を取り除けます。
また、餌となるホコリが積もる事がないことも、カビの発生を抑える要因です。しかしながら、圧縮袋に入れる前の布団に汗などの水分が含まれていると、カビが生える可能性があります。
十分に干して乾燥させてから入れましょう。
下段の物はキャスター付きチェストに入れる
下段の収納では、キャスター付きチェストを使用することで力を使わずに物を動かせます。押入れ煮物がなければ換気で空気を入れ替えやすくなりますし、掃除をしてカビの餌になる埃を簡単に取り除けます。
日頃から、押し入れの中の手入れができれば、カビが発生しにくい環境を維持しやすくなるでしょう。
プチリフォームで棚を作る
物が積み重なっていると下の物を取り出すために、上の物をどかす必要性が生まれます。そのような状況では、容易に荷物を動かせません。
また、物が積み重なっていると隙間が減るので通気性は極めて低いです。そのため、カビが発生しやすい環境になります。
そこでプチリフォームとして押し入れの中に棚を作れば、荷物の出し入れがしやすくなりますし、通気性も高まりカビの発生を防げます。
棚は材料を揃えればDIY感覚でも作れますが、安心して物を収納したいならば業者に耐久性の高い棚を設置してもらいましょう。
カビが生えてしまった場合の撃退法
準備するもの
押入れにカビが発生してしまったときには、即座に掃除をして広がらないようにします。掃除で必要となるものは以下の通りです。
- 消毒用エタノール
- 拭き取りに使う雑巾
- 手を保護するゴム手袋
掃除の手順
掃除の手順は以下の通りです。
- まず押入れにある物を取り出しながら被害のでている箇所を確認する。
- 消毒用エタノールで浸した雑巾を使いカビの生えている箇所を拭き取る。
カビ菌の胞子は、小さな衝撃でも飛散し下に落ちるので作業は上段から始めると効果的です。
カビを拭き取っても、まだ斑点のようなものが残っているのであれば塩素系漂白剤により色を落とすことができます。
しかしながら、塩素系漂白剤は強力で、使用した箇所の色が変色する恐れがあります。その点を理解した上で使用しなければ、後悔することになるでしょう。
どれほどの漂白効果があるのか確認したいときには、目立たない箇所で試してみるのが無難です。カビの除去ができたら、水で濡らした雑巾で漂白剤などを拭き取ります。
最後に扇風機などで押し入れの中を乾燥させたら、出していた物を元の位置に戻しましょう。
押入れのカビはもう怖くない
押し入れを活用すれば、生活空間に物が雑然と転がっていることを防げます。しかし、物を収納した後、中を隅々まで確認する機会は少ないでしょう。
そこで知らぬ間にカビが生えていることを防ぐためにも、今回紹介したカビの予防法やカビの発生しにくい収納方法が役立ちます。
またカビが発生したとしても即座に撃退すれば、綺麗な押し入れに戻すことが可能です。押入れのカビを、もう恐れる必要などありません。